縮毛矯正とヘアカラーの同時施術は法律に違反するの?
縮毛矯正とヘアカラーを同時に行うことは、日本の美容師法などの法律で明確に禁止されているわけではありません。
ただし、法律違反ではなくても、美容師としての倫理やお客様の髪を大切にする観点から、原則禁止とされるケースもございます。
使用する薬剤の種類によって原則禁止とされる場合があります。
例えば、縮毛矯正剤が「医薬部外品」である場合、ヘアカラーとの同時施術は原則禁止とされています。
一方、縮毛矯正剤が「化粧品」として登録されたものであれば、同時施術を制限する決まりはありません。
このように、使用する薬剤によっては、原則禁止とされる場合も考えられます。
細かな規定について詳しく調べていくと、ほかにも多くの規定が存在することが分かります。
美容室で行う多くの施術が、厳密には原則禁止に該当する可能性もあります。
例えば、パッチテストを行わずに薬剤を使うことは基本的に控えるべきとされます。
さらに、カラー剤を混ぜて希望の色味を作ることや、トリートメントに栄養剤を加えること、パーマ時の加温なども、薬剤の使用と管理に関しては注意が必要とされています。
実際、美容室にはこれらの細かなルールについて問い合わせやご意見が多く寄せられています。
日本の薬機法(医薬品、医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、健康や美容に関わる製品の品質や安全性、有効性を守るために、厳格なルールを設けています。美容室でも、この薬機法を守った薬剤だけを取り扱うことが求められています。
薬機法の目的とは?
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質や安全性を確保することと明記されていますが、時代とともに変化も当然します。
以前の美容師法や関連規則には、「100度以上のヘアアイロン」を火気や火器と同じようにみなしていた時代もありました。
その時代に今の縮毛矯正技術を行っていた場合、当時の基準では適切ではないと判断された可能性もあります。
このように、技術や考え方、そして法律は今後も変化していくものです。
また、当店のみならず、さまざまな場所で様々な意見が出ることがあります。実際、縮毛矯正について考えを深めていく中で、薬機法に対して疑問を感じることもございます。
しかし、薬機法というルールが存在する限り、私たちはその範囲内で商品や薬剤を仕入れる必要があります。
そのため、美容師として薬剤についての知識や技術を身につけ、お客様の髪をより良くする方法を目指す姿勢が何よりも大切だと考えております。
批判的な意見も考慮しつつ、前向きにより良い技術やサービスを追求していくことが重要です。
なお、「縮毛矯正とヘアカラーの同時施術は法律で禁止されていない=安全」という意味ではありません。
別々の日に施術したほうがリスクを減らせる場合もございます。ただし、どちらも薬剤を使う以上、髪が傷むリスクがゼロになることはありません。
「禁止かどうか」だけでなく、お客様の髪を美しく保つために何ができるかを考えることが大切です。
髪の状態やご要望によっては、ご希望とリスクに差が生じる場合もございます。
それでも、髪のダメージが元通りにはならない以上、正直にお伝えすることが美容師の責任だと考えております。
薬剤を使う施術において、どうしてもダメージは避けられない部分があります。現状の技術では、髪を完全に元通りに回復させることは難しいのが実際です。
それにもかかわらず、「髪が回復する」といった情報や宣伝を見かけることがありますが、このような情報には注意が必要だと考えております。
薬機法は非常に大切なルールですので、軽視することはできません。
ですが、それ以上に「どうすればお客様の髪をよりきれいにできるか」という観点を持ち続ける姿勢こそが、良い美容師であり続けるためには欠かせないと考えております。
この視点を忘れてしまうと、本質的な技術の向上も難しくなってしまうと感じています。